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有明や浅間の霧が膳(ぜん)を這(は)ふ

 
有明や浅間の霧が膳(ぜん)を這(は)ふ
 
 夜が明けても、まだ空に月が残っている。早立ちのために食膳につくと、浅間山の方から霧が流れてきて膳のあたりを這っている。〔季語〕霧
 
 
名月をとってくれろと泣く子かな
 
 名月を取ってくれとわが子が泣いてねだる。親として、それにこたえてやれないじれったさ。〔季語〕名月
 
 
名月の御覧(ごらん)の通り屑家(くづや)かな
 
 下界を照らしている八月十五夜の月が御覧のように、わが家はぼろくずのようなみすぼらしいあばら家です。〔季語〕名月
 
 
名月や膳(ぜん)に這(は)ひよる子があらば
 
 今夜は名月だ。死んだあの子が生きていて、膳に這い寄ってくるようであったなら、さぞかし楽しい夜だっただろうに。〔季語〕名月
 
 
けふからは日本の雁(かり)ぞ楽に寝よ
 
 はるばると海を渡ってきた雁よ。今日からは日本の雁だ。安心してゆっくり寝るがよい。〔季語〕雁
 
 
仰(あふ)のけに落ちて鳴きけり秋の蝉(せみ)
 
 秋の蝉も、いよいよ命を終えようとしているのか。とまる力も失い、土の上に仰のけに落ちてジージー鳴いている。〔季語〕秋の蝉
 
 
秋風に歩いて逃げる蛍(ほたる)かな
 
 夏の夜を彩った蛍も、秋風が吹くころになると飛ぶ力もない。風に追われてよろよろ逃げるように歩く姿は、何とも哀れでならない。〔季語〕秋風
 
 
秋風やむしりたがりし赤い花
 
 秋風が吹くころになった。あの赤い花は、死んだ「さと」が大好きで、いつもむしりたがった花だよ。〔季語〕秋風 
 
 
秋寒(あきさむ)や行く先々は人の家
 
 秋も深まり寒くなってきた。しかし、私には住みつく家もなく、行く先々はみな人の家で、寂しさがいっそう増していく。〔季語〕秋寒
 
 
木曽山(きそさん)へ流れ込みけり天の川
 
 天空を流れる天の川は、まるで木曽山に流れ込んでいるかのように見える。〔季語〕天の川
 
 
一人(いちにん)と帳面につく夜寒(よさむ)かな
 
 一人旅で安宿に泊まった。一人旅は宿の者から胡散臭く見られるもの。宿帳に「一人」と書かれて、夜の寒さがいっそう身に沁みる。〔季語〕夜寒
 
 
露(つゆ)の世は露の世ながらさりながら
 
 この世は露のようにはかないものだと知ってはいても、それでもやはりあきらめきれない。この世がうらめしい。(長女のさとが疱瘡で死んだときに詠んだ句)〔季語〕露
 
 
散るすすき寒くなるのが目に見ゆる
 
 秋が深まり、日に日に散っていくすすきの穂。それを見ると、日ごとに寒くなってくるのが目に見えるようだ。〔季語〕すすき散る
 


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2008年02月24日 12:10に投稿されたエントリーのページです。

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